人手不足の深刻化やDX推進の加速により、多くの企業がRPAを活用した自動化に注目しています。しかし、「具体的に何ができるのか」「どの程度の効果が期待できるのか」などの疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、RPAのメリットや導入事例、さらに注意点までを徹底解説します。RPA導入の判断材料としてご活用ください。
RPAを導入する具体的なメリット

RPAの導入は単なる業務の自動化にとどまらず、組織全体に多くのメリットをもたらします。
まずは具体的なメリットを6つ紹介します。
業務の効率化・人件費の削減
RPAがもっとも得意とするのは、データ入力や転記作業、データの突合、ファイル作成・変換といった定型作業の自動化です。
人間が数時間かけて行っていた作業でも、RPAなら数分で完了でき、全体として大幅な業務効率化を実現できます。
また、これまで定型作業に費やしていた人件費を削減できるのも大きなメリットです。限られた人的リソースを有効活用する手段として非常に有効です。
人的ミスの防止・業務品質の均一化
RPAは人間の手作業では避けられない「入力間違い」「読み取りミス」などのヒューマンエラーを防止できます。
特に大量のデータ処理は、疲労による集中力低下でミスが生じやすくなる作業ですが、RPAならミスなく処理することが可能です。
また、「従業員によって作業手順が異なる」「成果物の品質にバラつきがある」といった属人化の課題を解決するのにも、RPAの導入が役立ちます。
品質維持・向上のための従業員教育コストも抑制できるでしょう。
働く環境の改善
RPAは24時間365日稼働可能なため、深夜や早朝など従業員の労働時間外でも作業を進められます。
そのため、月末・月初や年度末などの繁忙期における過剰な残業や、慢性的な長時間労働の削減に貢献します。
働き方改革が進む中、従業員の負担軽減と健全な労働環境の実現にも大きく寄与するでしょう。
従業員のモチベーションアップ
ルーティンワークをRPAに任せることで、従業員はよりコアな業務や創造的な仕事に集中できるようになります。
単調な作業によるモチベーション低下を防ぎ、やりがいのある仕事への集中を促すことは、人材定着や組織力強化にも役立つでしょう。
顧客満足度の向上
RPAにより複雑な作業も短時間でミスなく完了できるため、顧客対応のスピードアップが実現します。
対応時間の短縮は顧客満足度の向上に直結するほか、自動化で空いた時間を顧客対応の質向上や新サービスの開発といったコア業務に充てることで、さらなるサービス品質の向上も期待できます。
業務フローの改善
RPA導入時には「業務内容の調査」「業務フローの確認」といった既存業務の棚卸しが必要となりますが、この過程自体が業務改善のきっかけになります。
「なぜこの作業が必要なのか」「もっと効率的な方法はないか」といった視点で業務を見直すことで、無駄な工程の発見や効率化のアイデアが生まれることも少なくありません。
RPAを導入する際のデメリット・注意点は?

RPAは多くのメリットがある一方で、導入前に認識しておくべきデメリットや課題もあります。
適切な導入判断や提案資料作成のために、4つの注意点を理解しておきましょう。
1.セキュリティリスク
まず、セキュリティリスクを考慮する必要があります。
特にクラウド型RPAの場合、業務データがクラウド上に保存されるため、情報漏洩のリスクが懸念されます。
社内の機密情報を扱う業務に導入する際は、セキュリティ対策が十分かどうかの確認が必要です。
2.プログラミング知識が求められる
RPAの保守・運用にはある程度のプログラミング知識が必要となります。
RPAツールは直感的に操作ができるものが多いのですが、複雑な処理や例外の対応などを設定する際には技術的な知識が求められます。
社内に技術担当者がいない場合、外部委託などの体制構築も検討すべきでしょう。
3.自動化できない業務もある
人の判断を要する複雑な業務は自動化が難しい点も理解しておくべきです。
例外の処理が多い業務や、状況に応じた判断が必要な業務はRPAだけでは対応できず、人間の介入が必要となります。
4.知識不足により運用が進まない場合もある
現場社員のRPAに対する理解不足も課題となります。また、「ロボットに仕事を奪われる」といった不安や抵抗感から、導入がうまく進まないケースもあります。
従業員への適切な説明と理解促進が重要です。
RPA導入に向いている業務・向いていない業務

定型業務はRPA化しやすい
定型業務は、作業手順や入力ルールが決まっているため、RPAとの相性が良いです。たとえば、Excelへの転記作業や請求書データの入力、複数システムへの同一情報の登録などは、自動化しやすい代表例です。
RPAは、あらかじめ設定した手順に沿って操作を繰り返す仕組みのため、業務フローが安定しているほど効果を発揮します。まずは日常的に発生する単純作業からRPA化を検討すると、導入効果をイメージしやすくなるのでおすすめです。
人の判断が必要な業務は不向き
RPAは決められた手順を自動化することが得意な一方で、人の判断や状況に応じた対応が必要な業務には向いていません。たとえば、問い合わせ対応や複雑な承認業務などは、判断基準が変わりやすいため注意が必要です。
また、イレギュラー対応が多い業務を無理にRPA化すると、想定外のエラーや運用負荷につながる可能性もあります。RPA導入を進める際は「毎回同じ手順で処理できるか」を基準に業務を整理することが重要です。
ただし、近年はRPAにAIを組み合わせることで、判断を伴う業務や非定型な業務にも自動化の範囲が広がりつつあります。従来はRPAに向いていないとされていた業務も、AI活用によって自動化できるケースが増えてきています。
RPAの導入で期待できる削減額・削減工数

RPAの導入によってどの程度の効果が得られるのか、具体的な数字を知りたい方も多いのではないでしょうか。
ここでは民間企業と公共機関の事例をもとに、実際に達成された削減額や削減工数を紹介します。
物流会社の事例|初年度で約250万円・約1,400時間の削減
物流業を営むA社がRPAを導入した事例では、初期投資を早期に回収し、大幅な業務効率化を実現しています。
導入にあたっての必要経費は、各拠点でロボットを実行するためのPC本体と実行ライセンス費用、さらに開発ライセンス費用を合わせて年間約80万円でした。
投資を回収するためには年間445時間の業務削減が必要でしたが、実際の導入結果は予想を大きく上回り、導入初年度の削減時間は約1,400時間、金額換算で約250万円の効果を生み出しました。
さらに2年目には効果が拡大し、年間3,900時間、約700万円の削減を達成しています。
出典:公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会「RPA(Robotic Process Automation)導入による事務改善事例」
東京都B市の事例|年間約430万円・約4,200時間の削減
東京都B市における国民健康保険のレセプト(診療報酬明細書)処理業務へのRPA導入事例も、劇的な改善を示しています。
導入前は嘱託職員3名がレセプトの資格点検や内容点検などを担当していた状況で、過誤・再審査1件あたりの点検・入力作業に20~22時間を要していたそうです。
RPAを導入した結果、年間4,212時間もの業務時間削減に成功し、削減率は実に97.5%に達しました。
処理日数も20日程度かかっていたものが1日~1日半程度にまで短縮され、業務の大幅なスピードアップが実現しました。
予算ベースでの歳出削減効果は年間427.1万円(削減率64.2%)となり、財政面でも大きな貢献を果たしています。
出典:総務省「自治体におけるRPA導入ガイドブック」
RPA導入で失敗しないためのポイント
効果が出やすい業務・部署からスモールスタートする
RPA導入で失敗を防ぐには、まず効果が得られやすい業務や部署を選んでスモールスタートすることが重要です。いきなり複数部署へ導入すると、運用ルールの整備やトラブル対応が追いつかず、現場の負担が増える可能性があります。
まずは定型業務が多く、効果が見えやすい部署から小規模に導入し、成功事例を積み重ねながら進める方法が現実的です。そこで得た知見やノウハウをもとに段階的に展開範囲を広げることで、最終的な全社導入をスムーズに進められます。
運用ルールを決める
RPAを安定して運用するためには、事前に運用ルールを決めておくことが大切です。担当者が不明確なまま運用を始めると、エラー発生時の対応やロボットの管理が属人化しやすくなります。
たとえば、「誰が修正対応を行うのか」「定期的なメンテナンスをどう実施するのか」などを整理しておくと、運用負荷を抑えやすくなります。導入前に管理体制を整えることで、長期的にRPAを活用しやすくなるのでおすすめです。
現場業務を整理してから導入する
RPAを効果的に活用するためには、現場業務を整理してから導入を進めることが重要です。業務フローが曖昧な状態で自動化すると、不要な作業までそのままRPA化してしまう可能性があります。
まずは、どの作業が定型化されているのか、どこで手作業が発生しているのかを洗い出すことが大切です。業務内容を可視化しておくことで、RPA化すべき範囲を判断しやすくなり、導入後のトラブル防止にもつながります。
RPAに関するよくある質問
- QRPAとAIの違いは何ですか?
- A
RPAは、あらかじめ設定した手順に沿って定型業務を自動化する技術です。一方、AIは大量のデータをもとに学習し、判断や予測を行う技術を指します。
たとえば、請求書データを決まったルールで入力する作業はRPAが得意です。対して、文章の分類や画像認識など、人の判断に近い処理はAIを活用するのが有効です。
- QRPA導入で失敗する原因は?
- A
RPA導入で失敗する原因として多いのは、業務整理が不十分なまま導入を進めてしまうケースです。業務フローが曖昧な状態で自動化すると、エラー対応や運用負荷が増える可能性があります。
また、全社導入を急ぎすぎたり、運用ルールを決めずに導入したりすることも失敗につながりやすい要因です。まずは定型業務から小規模に導入し、効果検証を行いながら運用体制を整えることが重要です。
- QExcelマクロとの違いは?
- A
RPAとExcelマクロ(VBA)は、どちらも業務自動化に活用されますが、自動化できる範囲に違いがあります。Excelマクロは主にExcel内の処理を自動化する仕組みで、表計算やデータ整理などに利用されます。
一方、RPAはExcelだけでなく、複数のシステムやWebブラウザをまたいだ操作も自動化できる点が特徴です。複数ツールを横断する定型業務を効率化したい場合は、RPAが活用されるケースもあります。
まとめ
RPAの導入は業務効率化、人件費削減、ヒューマンエラー防止、働く環境改善など多くの効果をもたらします。実際の導入事例では、物流会社で年間1,400時間、自治体では年間4,200時間もの工数削減を実現しています。
一方で、セキュリティリスクや技術的知識の必要性、運用面などの課題も存在します。
社内で自動化のニーズが高いものの、RPAだけでは対応できない、または運用面に不安がある場合は、AIやOCR、API連携などの機能を備えた自動化プラットフォーム「Automation 360」も選択肢のひとつです。
単純な定型作業だけでなく、データの分析や判断を要する業務など、自動化の範囲を広げたい企業様におすすめです。
特にセキュリティに強く、Veracodeレベル5評価(国産RPAよりも高水準)やGDPR対応、HITRUST CSF認証など、厳格な情報保護基準を満たしています。
加えて、クライアントPCで動作するため、意図せず業務データがアップロードされることはなく、情報漏洩の防止に役立ちます。
また、現場社員の育成や技術不足など、社内リソースに不安がある場合は、あわせて株式会社システムサポートが提供する「Automation 360 Managed Service」の活用もご検討ください。
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