株式会社システムサポート（本社：石川県金沢市、代表取締役社長：小清水 良次、以下 STS）は、株式会社日本経済新聞社（本社：東京都千代田区、代表取締役社長：長谷部 剛、以下 日経）の運営する「日経ID」基盤のアマゾン ウェブ サービス（以下AWS）移行プロジェクトに参画し、オンプレミスで管理していたシステムのAWS移行を支援しました。AWS移行作業は、2020年12月より実施し、2021年12月にAWS移行が完了しています。 ※「日経ID」は、2010年創刊の「日本経済新聞 電子版（以下、日経電子版）」とともに生まれた会員ID基盤で、約1,000万人のビジネスパーソンが利用する日本最大級のオーディエンス・プラットフォームです。日経の提供する日経電子版をはじめ、日経グループ会社各社が提供するさまざまな登録制会員サービスを提供しています。

　日経では従来、日経電子版など多くのシステムでクラウドサービス（AWS）の利用が進んでいましたが、「日経ID」の個人情報を含む認証や課金決済などのシステムについては、自社のデータセンター内（オンプレミス）で運用していました。そのハードウェアが2022年に更新期を迎えることから、社員の労力をより事業成長へつなげる開発へ注力させるとともに、DX戦略推進に向け機動的な対応や高度なセキュリティを実現したシステムとすることを目的として、「日経ID」基盤全体のAWS移行を検討しました。
　「日経ID」基盤のAWS移行プロジェクトは、当初、日経のシステム開発運用を担当する協力会社と日経の社内メンバーを中心に進行していましたが、システムの主管機能であるOracle DatabaseのAWS移行が大きな課題であったため、AWSへの移行経験が豊富なパートナー会社が必要となりました。そこで、AWSからパートナー紹介を受け、AWSのみならず、Oracle Databaseに関する豊富な知識と移行実績を持つSTSに移行支援の相談があり、STSが本プロジェクトに参画しました。
　STSは限られた期間の中で、日経の規定する脆弱性診断をクリアする最適な基盤構築と安全なクラウド移行、システム全体のIaC化（システムインフラのコード化）を進めました。その中で、Oracle DatabaseのAWS移行においては、データベースのPaaS化（Amazon RDS for Oracleの利用）を実行する際に、既存の高スペックな環境と同じ性能を担保できるかが懸念点にあったため、先行してフィジビリティ検証を実施。データ移行に要する時間や既存システムにかかる負荷状況など、十分に確認のうえ本番移行を実施したことで、拡張性・可用性に優れたデータベース環境をAWS上に構築することができました。
　また、「日経ID」は、1,000万人もの会員がさまざまな日経のサービスのログインで利用しているため、完全停止して移行作業をすることは困難でした。そこで、STSはデータベースの移行手法について、Oracle Database Data Pumpによる移行とAWS Database Migration Serviceによる移行を各テーブルの処理タイミングで使い分ける方法を提案。テーブル群ごとに移行方式を選択し、細分化してデータ移行を実施したことで、安全かつシステムダウンタイムの短い移行を実現しました。
　「日経ID」基盤をオンプレミスからAWS環境へ移行したことで得られた効果は、以下のとおりです。

• AWS移行とシステム全体のIaC化を実現したことにより、開発者体験の改善につながった。
• 物理サーバの管理から解放されたため、事業成長につながる開発に注力することができるようになった。
• 事前のフィジビリティ検証を経てデータベース（Oracle Database）のPaaS化に成功したことで、拡張性・可用性に優れたデータベース環境をAWS上に構築できたため、今後のシステム運用におけるITコストの大幅な削減が期待できる。

　STSは、今後も、お客様の課題解決に向けたクラウドサービスの利用支援を行ってまいります。

※記載された製品名および会社名は各社の商標または登録商標です。